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LFコードで改行したファイルを読み込む|Excel VBA

ファイル操作関連のテクニック

LFコードで改行したファイルを読み込む

(Excel 2000/2002/2003/2007/2010)

■CSVファイルを読み込む

次のようなCSVファイルがあるとします。

---- Staff.csv --------------------------
社員番号,氏名,入社年度,部署名
W2870,丸の内花子,2009,経理部
M2079,東京太郎,2005,営業一部
-------------------------------------------

このCSVファイルを読み込むには、次のようにします。

Sub Sample1()
    Dim buf  As String, tmp As Variant, i As Long
    
    Open "C:\Data\Staff.csv" For Input As #1
        Do Until EOF(1)
            i = i + 1
            Line Input #1, buf
            tmp = Split(buf, ",")
            Cells(i, 1).Resize(1, UBound(tmp) + 1).Value = tmp
        Loop
    Close #1
End Sub

まずCSVファイルを開きます。
そして、Line Inputステートメントでデータを1行ずつ読み込み、カンマで区切ってセルに出力します。
この処理を1行目から最終行まで繰り返します。
Line InputステートメントでCSVファイルを読み込む方法については「CSVファイルを読み込む」をご覧ください。

Windowsで作られたファイルの場合、通常はこれで問題ないでしょう。
しかしこの方法では、同じ形のCSVファイルでも思った通りに読めないことがあります。
なぜなら、Line InputステートメントはUnix/Linux系のサーバーなどで良く使われるLF(ラインフィールド)コードのみで改行されたデータを1行ずつ読めない、という弱点があるからです。

CR+LFやCRコードで改行したファイルなら1行ずつ読み込むことができますが、LFのみで改行したファイルの場合、すべて1行目に読み込まれてしまうのです。
データ数が多く、ワークシートの列数をオーバーすると「アプリケーション定義またはオブジェクト定義のエラー」の実行時エラーが発生することになります。

■LF(ラインフィールド)コードで改行したCSVファイルを読み込む

では、LFで改行したCSVファイルを読むにはどうしたらよいでしょうか。
Line Inputステートメントで読むとファイルの末尾(EOF)まで読み込まれます。
そこで、末尾まで読み込んだデータを、いったんLFで区切って1行ずつのデータとし、それをさらにカンマで区切ればよいでしょう。

Sub Sample2()  
    Dim buf As String
    Dim tmp As Variant, tmp2 As Variant
    Dim i As Long
    
    Open "C:\Data\Staff.csv" For Input As #1
        Line Input #1, buf
    Close #1
        
    tmp = Split(buf, vbLf)
    For i = 0 To UBound(tmp) - 1    '---(1)
        tmp2 = Split(tmp(i), ",")
        Cells(i + 1, 1).Resize(1, UBound(tmp2) + 1).Value = tmp2
    Next i
End Sub

配列tmpの最後の要素は空になるため、(1)ではUBound(tmp)から1引いた値までループ処理を行います。最終行が改行されていない場合は、Forループの上限をUBound(tmp)としてください。

すべてのデータを一括して読み込むなら、Getステートメントを使う方法もあります。 Getステートメントで読み込むには、ファイルをバイナリモードで開きます。

Sub Sample3()
    Dim buf() As Byte
    Dim tmp As Variant, tmp2 As Variant
    Dim i As Long
    
    Open "C:\Data\Staff.csv" For Binary As #1
        ReDim buf(1 To LOF(1))  '---(1)
        Get #1, , buf           '---(2)
    Close #1
    
    tmp = Split(StrConv(buf, vbUnicode), vbLf) '---(3)
    For i = 0 To UBound(tmp) - 1
        tmp2 = Split(tmp(i), ",")
        Cells(i + 1, 1).Resize(1, UBound(tmp2) + 1).Value = tmp2
    Next i
End Sub

(1)では、開いたファイルのバイト数をLOF関数で調べ、データを受け取るバイト型配列bufの領域をそのバイト数分、確保します。
(2)のGetステートメントでbufにバイナリデータとして読み込み、(3)のStrConv関数でUnicodeに変換、LFで区切って配列に格納します。
その後は、Sample2と同じです。

InputB関数を使う方法でも同様の処理になります。

    Open "C:\Data\Staff.csv" For Input As #1
        buf = StrConv(InputB(LOF(1), #1), vbUnicode)
    Close #1
    tmp = Split(buf, vbLf)

Getステートメントで読み込むとき、変数bufをString型で受けることもあります。
このときも、変数bufの領域をあらかじめ確保しておく必要があります。
開いたファイルのサイズを取得するのにLOF関数を使用しましたが、開く前にファイルサイズを取得するにはFileLen関数を使用します。

    buf = Space(FileLen("C:\Data\Staff.csv"))
    Open "C:\Data\Staff.csv" For Binary As #1
        Get #1, , buf
    Close #1
        tmp = Split(buf, vbLf)

このFileLen関数はファイルの「バイト数」を返します。
一方、Space関数は、その数を「文字数」として領域を確保することになるため、
全角文字が含まれていると、bufの領域にあまりができることになります。

たとえば、読み込むファイルのデータが「モーグ」という全角3文字だった場合、
ShiftJISコードで作成されたテキストファイルのサイズは6バイトになるので、
FileLen関数は 6 を返します。
Unicodeは半角/全角ともすべて2バイトなので、Space(6) は半角スペース6文字分、
つまり12バイト分の領域を変数bufに確保することになります。
ここに「モーグ」の6バイトのデータを入れると、後ろに6バイト分のあまりができるわけです。

そのため、あらかじめ文字数がわかっている場合や、バイト数と文字数が同じ場合などを除き、 Getステートメントで読み込むときは、Byte型変数で受け取るようにしてください。

■データ内にLFコードを含む場合

Webフォームに入力されたデータなどでは、1件のデータがLFコードで改行され、さらに1つの項目内にLFコードで区切られたデータを含む場合があります。
このようなデータを読むにはどうしたらよいでしょうか。

読み込む項目の数やデータ型があらかじめわかっている場合は、Inputステートメントを使うと便利です。

Sub Sample4()
    Dim buf(3) As String
    Dim i As Long

    Open "C:\Data\test.csv" For Input As #1
        Do Until EOF(1)
            Input #1, buf(0), buf(1), buf(2), buf(3)
            i = i + 1
            Cells(i, 1).Resize(1, 4).Value = buf
        Loop
    Close #1
End Sub

項目数がわからない場合は、Sample3を応用します。
Sample5は、次のようなデータをワークシートに読み込みます。
データ項目に含まれたLFは、セル内の改行としてそのままセルに出力します。


---- Campaign.csv ------------------------------------------------------------
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--------------------------------------------------------------------------------
●印がLFコード

末尾が「"」+LFなら行末、LFのみならデータ項目内の改行とみなし、各行を「"vbLf"」で区切ります。また、各項目は「","」で区切ります。
ファイル内の項目数が変わる場合や、句点に「,」を使用している場合、行ごとに項目数が異なる場合にも読み込むことができます。

Sub Sample5()
    Dim b_buf() As Byte, s_buf As String
    Dim tmp As Variant, tmp2 As Variant
    Dim fname As Variant
    Dim i As Long

    fname = Application.GetOpenFilename("(*.csv),*.csv")
    If VarType(fname) = vbBoolean Then Exit Sub

    Open fname For Binary As #1
        ReDim b_buf(1 To LOF(1))
        Get #1, 1, b_buf
    Close #1
        
    '読み込んだデータをUnicodeに変換
    s_buf = StrConv(b_buf, vbUnicode)
    
    '先頭の「"」を取り除く
    s_buf = Mid(s_buf, 2)

    '最後のデータの「"」以降を取り除く
    s_buf = Left(s_buf, InStrRev(s_buf, """") - 1)
    
    '「"LF"」で1行ずつのデータに区切り、配列に入れる
    tmp = Split(s_buf, """" & vbLf & """")
    
    '「","」で区切り、シートに書き出す
    For i = 0 To UBound(tmp)
        tmp2 = Split(tmp(i), """,""")
        Cells(i + 1, 1).Resize(1, UBound(tmp2) + 1).Value = tmp2
    Next i
End Sub

●補足●

ファイルを読むにはいろいろな方法がありますが、一般にバイナリモードで開きGetステートメントで読み込むSample3の方法が一番高速です。

上のSample2とSamle3を元に、セルへの書き出しに時間がかかる、

Cells(i + 1, 1).Resize(1, UBound(tmp2) + 1).Value = tmp2

の行をコメントアウトしたコードで
(1) Line Inputステートメント  (2)Getステートメント  (3)InputB関数
の3通りの方法を比較してみると、約10Mバイト のLFで改行されたCSVファイルの場合で
(1)25.5秒 (2)0.4秒 (3)0.5秒 くらいの差があります。

(※ 実行環境:Windows7 Home Premium SP1/Intel Core i3 3.2GHz (64bit)/ Excel 2010)

ただし、(2)や(3)の方法はメモリ上にデータをすべて読み込んだうえで、StrConv関数により文字コードを変換をするため、ある一定以上のファイルサイズになると処理速度が一気に低下したり、「メモリ不足」の実行時エラーが発生することがあります。
サイズの大きなCSVファイルを読み込む際は、注意してください。